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6)「夏越の大祓」とは ~茅の輪のくぐり方~

「夏越の大祓」~形代の作法について~ のつづきです。
いよいよ「茅の輪(ちのわ)くぐり」です。歌を唱えながら、8の字回りに3回くぐります。詳しく見ていきましょう。
 
 

4)茅の輪のくぐり方

 
写真のように、茅(ちがや)で作られた大きな輪が「茅の輪(ちのわ)」です。
( ※ 茅の輪くぐりをしない神社もあります。一例としてご覧ください。 )
 

 
これをくぐることで罪・穢れ(けがれ)が祓われます。くぐり方は、8の字を描くように「左・右・左」と3回、神職の方を先頭に、参列者がつづいて回ります。くぐる際には「風土記」の「蘇民将来(そみんしょうらい)」にちなんだ歌(下記)を唱えます。
 
 
1)水無月の夏越の祓えする人は 千歳の命 延ぶと言うなり
みなづきの なごしのはらえ するひとは ちとせのいのち のぶというなり

( 6月に大祓をした人は、千年も寿命が延びると言われている。)
 
 
2)思ふこと みなつきねとて 麻の葉を 切りに切りても 祓ひつるかな
おもうこと みなつきねとて あさのはを きりにきりても はらいつるかな

( 思い悩みがすべて無くなってしまうように祈りながら、麻の葉を切りに切って祓うのだ )
 
 
3) 蘇民将来 蘇民将来
そみんしょうらい そみんしょうらい

( 蘇民将来、と唱えたり、紙に書いて入口や腰にぶら下げていると、悪疫が退散していく、と言われている )
 
 
さて、この3番目の歌に登場した聞きなれない「蘇民将来(そみんしょうらい)」とは何でしょうか? これは、「風土記」に登場するある男性の名前なのです。そのお話をご紹介いたしましょう。
 
 

◆ 蘇民将来(そみんしょうらい)のお話とは?

 
むかしむかし、スサノヲ様はその日泊まる宿に困っていました。自分が神であることを隠し、裕福な巨旦将来(こたんしょうらい)の所を訪れましたが、なんと、冷たく断られてしまいました。
 
 
その後、貧しい蘇民将来(巨旦将来の兄)の所を訪れたところ、蘇民将来は快く丁寧におもてなししてくれたのです。これに大変感動したスサノヲ様は、蘇民将来にこう言いました。「 今後、お前たちが幸せに暮らせるように、災いを避ける茅の輪を身につけなさい。そうすれば守られるであろう。 」 と。 その後、世の中に色々な災いが起きましたが、スサノヲ様の仰る通り、蘇民将来の家だけは いつも無事だったのです。
 
 
この神話にちなんで、人々は茅の輪をくぐったり、玄関先に「蘇民将来子孫(=ここは蘇民将来の子孫の家である)」 と書いたお札を貼って厄除けを祈願するようになりました。 また、小さな茅の輪を首にかけたり、腰に下げて歩くと、厄病除けになるとも考えられました。現在でも玄関先に「蘇民将来」と書いた飾りをかけている地域があります。
 
 
夏越の大祓の当日、茅(ちがや)を配っている神社がありますので、見つけた方は小さな輪を作って、玄関先にかけてはいかがでしょうか。(注意:大きな茅の輪から茅(ちがや)を引き抜かないでくださいね。) 神社によっては「小さな茅の輪」を配ってくださるところもあります。(写真左は、私が作った茅の輪。右が西宮神社でいただいたものです)
 

 
以上、ご紹介しましたように、「夏越の大祓」は、自分で努力しても取ることが出来ない、見えないマイナスエネルギーをきれいに祓ってくださる特別な神事です。 多くの神社では無料で参加できるのですが、神社をきれいに保ってただくためには、現実的にさまざまな費用もかかります。感謝のお賽銭をして、地域の神社をみんなで守っていきましょう。 いつの時代も、神社がきれいでイキイキしている地域は、活気があります。 お互い助け合って栄えていきましょう。
 
 
次回は、「夏越の大祓」当日に参加できない場合 についてご紹介いたします。
 
 

「大祓」解説シリーズ:まとめ

1) 誰でも生まれ変われる・年に2度の「大祓(おおはらえ)」とは?
2)「祓い」の由来は日本の神話から
3) 祓い・罪・穢れ(ケガレ)とは?
4)「夏越の大祓」とは?(全体の流れについて)
5)「夏越の大祓」とは?(形代の作法について)
6)「夏越の大祓」とは?(茅の輪のくぐり方)
7)「夏越の大祓」当日に参加できない場合
8)「大祓」解説シリーズ:まとめ
9)「茅の輪」は、引き抜いちゃダメなの。
 
 

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